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文字の洪水に溺れながら

人生初心者、でも人生のハードモードぐらいを生き抜きたい人間。

レッドクリフpert1を見てきた感想

ざっとした感想

期待しすぎるとろくな結果が無いというところですね
及第点は満たしてると思うんですけども、高得点か?といわれると首を傾げざるを得ない。
まさに62点とかそんな印象でした。
いや、こんなん最悪だ!なんていうつもりはないんですが・・・、この前に見た最後の映画がダークナイトだったから評価が厳しくなってるだけかな。
どこかのレビューサイトでも書いていたのですが一番楽しめる方は三国志の大まかなあらすじだけ知っているよ、あと好きな俳優にキャーキャー言えるっていう人で三国志大好きです!みたいな人は実は一番楽しめないと思う(苦笑)
特に僕の場合はこの頃、北方三国志にどっぷり嵌ってから見たので、なんというか、小説はやっぱりすげぇなぁという結果になってしまいました。
以下個別シーンで気になったところ

周愈の処罰の仕方

冒頭のシーンで周愈が善人というイメージを出すために、自らの軍の一部が犯した罪をあえて暴き出さないで良心に訴えさせ結束力を高める、というシーンがあったんですが、あれって本当に軍自体の結束力が高まるんだろうか?というのが気になってしまいました。
いや、罪犯した人が物凄い善人で、自責の念から更生する、ですめば良いですけど、もしそれで味を占めたらどうするんだよ?とか思ってしまうんですよね。
そもそも回りの罪を犯していない人たちはあれだけ、「恥人だ!!打ち首だ!!」とか叫んでいたのにトップが温情見せるだけでその罪人と命を共にする軍事行動を続けていけるんでしょうか?
僕だったら嫌ですよ、いつ裏切られるかわかったものじゃない。
命をかけて戦うという場所だからこそ、甘えは許されないわけじゃないですか、それに隙は排除するべきです。そうじゃないとあの軍は内側から崩れます、すくなくとも締まりはなくなる。
トップの行動は常に難しい選択に立たされるのはわかるけれども、なんだろう、あれは正義の天才司令官というにはお粗末だった気がします。
その場の感情でただ温情をかけてしまっただけ、という捕らえ方をされても仕方ないですよね。正義という動機付けもかなり甘いものがあったと思いますし・・・。ぶっちゃけ、ただ好きな人を守ろうと戦してるだけじゃん、とも取れてしまうのはやはり問題かと。
天才という名をつけるからには戦術だけでなくこういうところでも才能の片鱗を見せ付ける演出にしてほしかったです。

火薬のないアクション、しかし迫力はある

まぁ、三国志といえば戦なのでかなりの時間が戦に費やされていました
たぶん半分以上が戦いのシーンを描いていたんじゃないでしょうか、まぁ、あの長さは一長一短あるとは思いますが題材が題材なので仕方ないとは思います。ただし、延々と続けられるあまり上手ともいえない殺陣は食傷気味になりますが。
それで、そんな中でも斬新に感じたところは「爆発がない」てことです。
時代考察を踏まえてなのか爆発がまったくないんですね、これは見ていてとても斬新でした。
というか、常日頃からいかに爆発という単純な表現に慣れきっていたのかという反省も若干感じたり。
人海戦術の中にしっかりとした陣形のシステムを取り入れて観客に見せる戦いの描き方はとても興味深いものがありましたね。
やはり、どうしても映画の戦争には主人公を中心としたミクロの恐怖や乱雑さを映すかマクロレベルの敵味方入り乱れる混沌さを描かれることがほとんどなのでこの映画のようにマクロレベルでしっかりと戦術があるんだぞ!と、アピールするのは非常に成功していると思います。
だいたい2世紀とかの時代にそういう陣形を説いている書物があった中国のレベルの高さのほうに感嘆すべきなのかもしれませんが。

バイアスがかかりすぎたキャラクター像

ちょっといただけなかったのはあまりにもキャラクター的に描かれすぎてた登場人物でしょうか。
そもそも劉備がはじめて周愈と面会したときなんて草鞋編んでたし、いくらなんでもそれはねぇよってかんじです。
特に蜀側はライトノベルス顔負けのひどいキャラクター的要素で固められていたので、あんぐり。
張飛なんかお笑いキャラに変えられていましたし、なんで素手で戦っているんだよw
ヤフーの映画コーナーで中国人留学生の方が中国の英雄を貶めすぎだと嘆いていましたが、確かにそれはわかる気がします。
こういうハリウッドの悪しきところに引っ張られていたのはどうかと思いました。
本当に人間らしさを感じたのなんて孫権曹操だったし、あ、ここは別に語るつもりです。
あと中村獅童が演技はどうして、あんなに不敵にうつるんですかね?かなり似合っていたと思います、あの役は個人的にはかなりGoodJobでした。

人間味のあるキャラクターが皆無

少なくとも映画では長尺を使っているからこそ人間の感情を描かないと駄目だと思うんですが、見事にこの作品はすっ飛ばしている気がします。その代わりにえんえんと戦が続いてしまっていて、単なる娯楽映画の粋を抜け出ていませんでした。。。
一体全体、ただ徳のためだ、徳のためだと喚いているだけなのに部下に慕われている劉備と盲目的に命を懸けて着いて行くその一行や一人の綺麗な女を略奪するためだけに国を攻めている曹操なんかにリアリティーを感じれるというのでしょうか、いや、これはラノベみたいな物なんだ、と、割り切ってしまえば話は逆ですが、同じ媒体でダークナイトは異常な程の感情が伝わって来たぞ、と思ってしまうんです。
ぶっちゃけると感情移入できないんです、動機がどのキャラも弱すぎて。

ちょっと話がそれるけども僕が北方三国志にどっぷり嵌れた理由の一つに各々のキャラクターが全て「志」を持っていることがあるんです。
それには正義とか悪とかそんな曖昧なものとは別に
「俺はこうしたい、だからこう生きる、これが俺の志だ」
っていう、物凄く格好が良くて、しかも魅入ってしまうキャラクター像が登場人物の数だけ用意されています。

でも、この作品ではほとんどその各々の持つ登場人物の魅力が感じられなかった。萌え論で東さんが言っているような記号化された特徴を身にまとったキャラクター達がえんえんとその記号に沿った活動をしているだけで、なにか人間ではなく、ラノベのキャラクターのようにしか感じられないんです。
徳とか正義とか天才とか、もうそんな曖昧なものは沢山だ!!と映画を見ていて思ってしまうんです。どうして徳を持とうとしているのか、徳って何なのか?天才は天才なりにいったいどんな悩みを持つのか?正義って言うけども戦に勝つための動機がそれだけで本当に正義といえるのか?そういうところまでもっと突っ込むべきなんじゃないでしょうか・・・。

唯一、それでも興味深く見れた登場人物が準キャラの孫権
彼は他のキャラとは違い、とても人間臭くて魅力的に感じました

敵との戦いか帰属に悩む姿
一歩踏み出す事のできない心の弱さ
周愈というカリスマのおかげで動くことが出来る姿
虎との戦いのシーンの不安にあせる姿

指導者としてのトップの責任の重さを周愈のおかげで克服できている彼の姿は中々見ごたえがあります。

今書いてみて思ったのですが、他のキャラクターは孫権みたいに弱みとが全く見えないせいでリアリティーがなくなって胡散臭く感じてしまうのかもしれませんね。
一大英傑達がわさわさと出てくる話しなので仕方ないといえば仕方ないんですが、もう少し人間味の演出は作りこめばよかったんじゃないかという思いは耐えません。

結局

普通のハリウッド映画みたいに時間のあるときに娯楽映画として見るには楽しい。

この一言に尽きます。
ただ、三国志の登場人物に愛着がある人はあまりお勧めできないかもしれません。

追記
周愈と小僑の絡みのシーンで「安」の漢字が雨で滲んでいくシーンがあるんだけど、あれはいったい何のメタファーだったのかがいまだにわからない・・・。普通に平安が脅かされているって事なのか・・・?